環境教育とインタープリテーション

                               山田菜緒子

※山のふるさと村解説員通信(内部報)より転載。

 環境教育(EE)とインタープリテーション(IP)は似ており、違いはあるのか?と考えられた方は少なくないと思われます。いまだ議論される点であると思いますが、著者が「環境教育実習」の授業で学んだ一視点を以下にご紹介します。

 Knapp (1998)はEEとIPは同じ目標を持ち似ているとしながらも、違いをいくつか述べています。まず、学校教育におけるEEは社会的に認知されたものであり、参加者は学ばねばならず決まった能力の習得を求められるものであるということを前提として、重要な違いを以下のようにあげています。
(1) EEは通常学校教育と関連したものであり、IPは学校教育およびその他の状況で用いられ、対象は自主的参加者であり、通常短期間の経験を提供するものである。一方、EEはカリキュラムに組み込まれた一年などの長期間継続しておこなわれるものである。人々が環境に対する肯定的な感覚、知識、姿勢を習得するには時間が必要なため、この時間の違いはEEとIPの共通目標である行動の変化の達成に大きな違いがある。
(2) EEはトビリシ宣言などの明確な指針を持ち理論的である一方で、IPはチルデンの原理のみで明瞭な方針を欠き、研究や実証された理論を基に展開されていない。よって、IPは行動変化を達成するための明瞭な目標が示されていない。(人々の行動変化という大目標を達成するためにEEは5段階の目標設定がなされているが(トビリシ宣言)、IPはそれらを持たない。)
(3) IPは生態系や資源に関する知識の取得を向上させることはできるが、姿勢(考え方)と行動を変化させることは難しい。短期間のIPの経験からこれらを立証するのは難しい。
従って、IPのみではEEの最終目標(行動変化)を達成することは困難であるが、IPでの経験はこの達成に不可欠であり効果的である。よって、行動変化という目標達成のためにはIPと長期的手法であるEEとのパートナーシップが成功の要である。その遂行には、IPはEEの過程に組み込めるか、すなわち、EEのどの目標レベルにIPは合うのかを考えることが重要である。

 上記のKnappの見解は、明確なビジョンが描ききれていないIPの今後の展開に意味のあるものだと思います。また、学校教育において総合学習などでEEの展開が予想される今、考慮すべき示唆であると考えます。なお、ここではEEは学校教育的(formal)活動、一方IPは自発的参加者を対象とした学校教育ではない設定(Informal)での活動と見られています。私見として、これがEEとIPの大きな違いであると考えます。
ところで、EEを学校教育において展開する方法として、EEは学校教育において新たな科目として設置されるべきか、現教科の中に挿入されるべきかという議論も価値があると考えます。アメリカでは指導要領は州ごとに異なり、EEを単独教科として設置している州と既存のカリキュラムに組み込んでいる州があります。どのようにして、EEを既存のカリキュラムに組み込むかについては、Volk(1993)が詳細に述べています。KnappがIPの可能性として述べているように、同様に、EEが既存の科目のどこに当てはまるかを検討していくこともEEの今後の展開に寄与すると考えます。

 Knapp, D. (1998). Environmental education and environmental interpretation: The relationships. in Essential Readings in environmental education, pp.325-332, Champaign: IL, Stipes Publishing L.L.C.
Volk, T. L. (1993). Integration and curriculum design, in Environmental education teacher resource handbook, pp. 45-75, Corwin Press Inc.